☆彡文楽三味線奏者　鶴澤 清介師匠のこと

　文楽三味線 鶴澤 清介師匠が紫綬褒章を受賞されました。おめでとうございます！　私がそもそも三味線を始めようと思ったのは大阪市立大学の公開講座で清介師匠の三味線を聞いたのがきっかけです。

　その後の講座やイベントでもいつも楽しいお話を聞かせていただきますが、三味線を学ぶ者として私が最も心に残っているのが、師匠の「メリハリが大切や」というお話です。間違えずに演奏することが最優先になってしまっている自分の演奏を振り返るとき、いつも思い出します。常に全力で弾くことがよいとも限らない。三味線ってなんて難しい楽器だろうと改めて思います。

　清介師匠は芸事とは縁のないサラリーマン家庭に育ったそうですが、中学生の時にラジオで聞いた義太夫に心奪われたとのこと。私の中学時代を思い起こすと『ザ・ベストテン』全盛の頃で、アイドルに夢中。やっぱり芸事を志すような人はちょっと違うなあというか、変わった中学生やなあ。でもそれが今となっては本当にうらやましいです。私も中学生くらいから三味線に興味を持っていたら……当時多くの子供が習っていたピアノに右に倣えでなく、親がちょっと変わっていて邦楽を習わされていたら……まあアレコレ考えても仕方ないし、子供のうちから親に強制されて三味線をやっていたら、いやになって途中でやめてしまっていた可能性も高いのですけどね。できるだけ大人になってから始めたことのメリットを考えるようにしないとね。

　文楽も6月末まで公演中止が決まっています。技芸員のみなさんは心身ともお元気にお過ごしでしょうか。給与補償などあるのでしょうか、とても心配しています。文楽に限らず、芸術芸能を支えるすべての人々が心折れることなくこの生活を乗り切り、晴れて舞台に復帰されることを心よりお祈り申し上げます。