イギリスに行った時「KATSU CURRY」(カツカレー)と書かれた飲食店のポスターを何枚も見た。料理の仕方を書いたものに「PANKO」(パン粉)という表記もあった。
そういえば、ヨーロッパにはパン粉をつけて揚げるフライという料理はないような気がすると私は言った。フライドエッグといえば揚げた玉子じゃなく、目玉焼き。ヨーロッパでは油を使って焼くことを「フライ」と表現していて、たっぷりの油の中を泳がせて行う調理方法は一般的ではないんじゃないか。エビフライもカキフライも日本で発明された洋食なのだろうか。
昨夜また家でその話が蒸し返され、カツとフライはどう違うのかという議論になった。「トンカツやビフカツはあるけど、エビカツはない……いやあるけど、エビフライとは似ても似つかぬもの。カキフライはあるけどカキカツとは言わないし」
夫はしばらく考え「その材料を丸ごとそのまま使っているのがフライで、細かく切って料理したらカツなのかな」そう言われれば、エビをすり身にして成形して揚げたらエビカツ、エビを丸ごと上げたらエビフライ。一尾丸ごと揚げる魚はアジフライやキスフライになるけど、マグロは丸ごと揚げることはできないから小さく切ってマグロカツになるのか。す、すごい。こういう夫の抽象化力には常々驚かされてばかりだ。
「豚フライや牛フライを創ろうと思ったら、豚や牛を一頭丸ごと揚げることになってしまうね」と自信満々な夫。豚や牛の丸揚げを想像してげんなりする私。
「それにしても、カツって日本語なんかなあ?」と夫。
「あっ!もしかして」と私。「カツはCUT(カット)から派生した日本語じゃないかな。小さく切って揚げるから」このような、言葉に関する洞察力に関しては私も少々自信がある。
それから2人で様々なフライやカツ料理を思い起こしては「丸揚げ=フライ」説の検証を行い、その有効性が証明されたかと思ったその時、急に夫の表情が曇ったのであった。
「しまった。当てはまらないフライがあったわ……サーモンフライや!」
た……確かに。ショックを受ける2人。夫が言う。「前に聞いた話を思い出したわ。最近の子供は鮭を焼いたのを見て、あの形の魚が海で泳いでると思っているらしい」「じゃあ、サーモンフライの名前をつけた人も、あの形の魚が海で泳いでると思ってたからフライになったんじゃない?」
かくして、我が家の「丸揚げ=フライ、切り身揚げ=カツ」説は無事守られたのである。
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kirokuya (日曜日, 21 7月 2024 10:11)
カツ:
(仏語)コートレットが語源かと?
いやはや、整理するのはむずかしいもんですな。ご夫妻の会話、訳がわからなくなってきました。再読します。
雛澪 (月曜日, 22 7月 2024 00:45)
コートレットは、スライスした牛肉の料理で、カツレツの語源だそうですね。
「スライスして揚げる=カツ」がここでも証明されました!
kirokuya (月曜日, 22 7月 2024 02:17)
とりもなおさず、カツカレーもカツ丼も海老フライも新世界の串カツも大好きです。ましてや、牡蛎フライなら永遠に食べられます。
ブラックkirokuya:おっさんおっさん、とりもなおすなよ。あんたの好物聞いてんのんちゃうねん!
kirokuya:すんまへん、再読します。