☆彡映画「鉄道員(ぽっぽや)」をTSUTAYAディスカスで借りた

 映画は映画館で観る派だが、たまに配信やDVDレンタルを利用して見逃していた作品を観ることがある。今回は「罪の声」が観たくてついでに「鉄道員(ぽっぽや)」と「グリーンマイル」を一緒に借りた。「ぽっぽや」は北海道が舞台だし、高倉健さん没後10年(もうそんなに……)特集を読売新聞でやっていて久しぶりに健さんに会いたくなったから。

 余談だが、私はネット配信サービスより現物のDVDを借りる方が好きである。配信よりも一作をリアルに丁寧に観られる気がする。読書家がネット上の本より紙の本を好んだり、作家が未だに原稿用紙と万年筆で執筆しているのと同じ感覚だろうか。何より、インターネット関連の勤務でありながら自宅ではホームルーターを使っているのでDVDの方が接続環境を気にしなくてすむのがよい。

 街のレンタルビデオ・DVD屋さんはほとんどなくなってしまったが、レンタル屋さん全盛の頃からTSUTAYAディスカスを愛用させてもらっている。このサービスは本当に優れもので感涙の極み。月極でレンタルできるサービスも充実しているが、必要な時だけ1枚からでもレンタルできる都度課金のサービスなんて、イマドキこんな良心的な商売があるのかと思う。店舗でレンタルしていたDVDが大量に残っている大手だからこそできるサービスかもしれない。「行った実店舗でお目当てのDVDがレンタルされていて借りられない」という昭和・平成の懐かしい現象もほとんどない。本当にお世話になりますTSUTAYAさん 末永くお願いします。

 前置きが長くなり過ぎました。「ぽっぽや」でした。なんとなくのストーリーは聞いて知っていたのであまり期待はせず、むしろ北海道を観たいためにレンタルしたくらいのものですが、ものすごくよかったです。冒頭から物語5分の4くらいまで、過去何十年かの思い出がモノクロで、現在の出来事がカラーで交錯するのですが、その切り替えがとてもスムーズ。創作物語として特別な出来事は起こらないけれど、登場人物やその関係などがとてもしっかり描かれているため、ラスト近くのファンタジー性を帯びた場面も違和感なく素直に入ってきます。こういう演出って小説などの文章の中でしか無理だと思っていたので実写映像でこれを成功させた(陳腐でないということ)のはすごいです。

 小さな町に住む人々の触れ合いの歴史が数十年という長い尺の中で息づいています。北海道の大自然を汽車・電車が疾走する風景は素晴らしく、映像のあちこちを切り取ったら1冊の写真集が作れそう。そして何より、北海道フェチ・北海道の鉄道フェチの私として、当時いやそれ以前から現在に続く北海道の国鉄・JRに関する問題、道内交通や道内産業の盛衰に伴う経済や地域活性の問題、住民の方たちの想い、といった深くて厳しい問題についても他所者なりに考え辛い気持ちにもなりました。他所者の気楽さを許していただけるなら「これ以上北海道の路線を減らさないで!」と叫びたい気持ちです。太陽の降り注ぐ草原や雪で真っ白の大地にはやっぱりバスよりも鉄道が似合う!

 夫が「吉岡秀隆くん(役名:秀男。健さん演じる乙松の親友仙ちゃんの息子でJR北海道本社勤務)が健さんと電話しているのを見て、寅さんを思い出した」と言いました。確かに、旅先から寅さんが満男に電話している様子に似ています。幼い頃から知っている乙松のことを秀男は「おじちゃん」と呼んでいるし。私は「電話口なのに、乙松が仕事に対する自身の考えを長々と話しているのが少しおかしかった」と言いました。この映画の監督かスタッフが寅さん映画に憧れていて、あのシーンは寅さんへのオマージュだったのでは、とも思いました。

 

 亡き志村けんさん、スーちゃん(田中好子さん)にも会えました。志村さんは急逝され山田洋次監督の「キネマの神様」の主演を務めることができなかったため、これが唯一の実写版映画出演となったそうですね。

 原作の浅田次郎さんは元鉄道職員だったのかな、と思いましたがwikiで調べたら全然違いました。それどころか、現地には行かないままこの物語を書いたそうで、素晴らしいストーリーテラーですね。wikiの内容が面白過ぎて浅田さんのファンになりそうです。

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コメント: 7
  • #1

    kirokuya (金曜日, 13 9月 2024 02:55)

    *鉄道員(ぽっぽや)
    映画も原作小説も名作ですよね。
    高倉健さんの代表作のひとつ、浅田次郎さんの傑作でしょう。記憶に残ってます。たしか幽霊役で広末涼子さんが出ていたような…?違うかな?なんかとてつもなくみずみずしかったような記憶があります。

    TUTAYAディスカス、知りませんでした。便利ですね。私に使えるようなら挑戦してみます。

    抗生剤点滴で朦朧な頭が活性化される文章、ありがとうございます。ご夫妻での映画鑑賞、感想トーク、眼に浮かびます。出所後また…

  • #2

    kirokuya (金曜日, 13 9月 2024 04:43)

    余談またはひとりごと:高倉健さんのこと。
    昭和40年代、東映ヤクザ映画路線の初期(後期は*仁義なき闘いシリーズなど)、鶴田浩二さん、藤純子(当時名
    )さんなどと共演されてた頃の健さんもよく観に行きました。当時、漫才のネタにされたように、私も切ったはったの余韻に浸って、場末の映画館出る時は古今無双状態、肩をいからせ、がに股の大股で出てきました。
    その路線が下火になったあとの健さんの作品*幸せの黄色いハンカチ*遥かなる山の呼び声……は、どれをとっても彼の代表作のような気がします。昨今では語弊がありますが、(昭和の男)を演じたらダントツピカイチだったでしょう。特に印象に残っているのは、*幸せの黄色いハンカチでの冒頭、服役を終え刑務所からでてきての食堂シーン、カレーとラーメンとビールを注文。ビールをグラスに注ぎ、絶妙の間(ま)の注視。そして一気に飲み干す。絶妙の間の至福顔。あの臨場感には、ギブアップでした。残念!あの間がとれる役者は、今不在!!


  • #3

    kirokuya (金曜日, 13 9月 2024 05:01)

    あぁ早くあの間でビールを飲みたい。

    (ひさびさ登場)
    ブラックkirokuya:でけへん、でけへん。

  • #4

    雛澪 (土曜日, 14 9月 2024 23:50)

    おやっさん出所おめでとうございます。イヤイヤ退院おめでとうございます。
    本当に健康にはお気をつけくださいね。

    幽霊役(!)で広末涼子さん出てます。夫は「WASABI」の広末さんは
    ダメだけどぽっぽやの広末さんはまあまあよかったようです。
    そんな話をしてたら「WASABI」をまた観たくなったと夫が言ってます。

    健さんのビールのシーンは私もよく覚えてます。
    健さん、本当にすごい役者さんですね。黙っている演技がすごい人ですね。
    kirokuyaさん曰く「映画は監督」だそうですが、いやいや「映画も役者」と思います。

  • #5

    kirokuya (日曜日, 15 9月 2024 01:24)

    *WASABI
    観たくなります。

    出所してのビールにありつけました。頭クワーッ!!!

  • #6

    kirokuya (日曜日, 15 9月 2024 01:36)

    それより、栄水兄貴が*WASABI観てたのが意外!

  • #7

    雛澪 (日曜日, 15 9月 2024 09:54)

    「レッドオクトーバーを追え」は暗記できるくらい観たそうですよ。