☆彡映画「聖なるイチジクの種」

 誰も悪くない。一生懸命生きていない人は誰もいない。そういう家族が抑圧によって壊れていく物語。

 私は映画の基本は120分±10分までだと思っていて、長い映画はあまり好まない。制作側が、一般的な映画の枠に収まるほどの取捨選択ができなかったのかな? と思ってしまうし、第一長い映画は観るのがしんどい(笑)

 この映画は170分近いが、時間を全く感じさせないものだった。自由を求めて戦い迷う人と、それを見守り悩む人。時には互いを監視し、しかし愛をもって互いをかばい合う。人間心理や人間関係がとてもていねいに描かれている。ハラハラドキドキのサスペンス要素もある。

 ネット上の一部の感想で「無駄に長いシーンが多い」というのを見た。例えば妻のナジメがバスルームで夫イマンの身支度を整えてやるシーン。愛する人と気持ちのすり合わせがうまくいかず、切なくつらい心を抱えた妻の感情が非常にうまく表現されていたと私は思う。

 負傷した娘の友人を手当してやるシーンも長かったが、純粋な正義感を宿す娘たちの母親であり、また国家に忠誠を尽くす公務員の妻でもある彼女の複雑な心境を見てとることができた。

 そして何よりびっくりしたのは、ストーリーの要として宣伝されている「家庭内で拳銃がなくなった」という事件が起こるのが、この長い作品の中の中盤以降! にもかかわらず全く違和感を感じさせない監督の力量はすごいと思った。

 これもネット上の感想で「ラストの鬼ごっこ」などは私もそこまでやるか、と思ったがそれまでのシーンがあまりにもよかったので陳腐とまでは思わなかった。

 観るかどうかかなり迷っていた(長いから・笑)ので珍しく先にネット上で評判をチェックしてしまったが、今観るかどうか迷っている人にはぜひ観ることをお勧めします。

 

 美しく、重く、すばらしい映画です。

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コメント: 3
  • #1

    kirokuya (火曜日, 25 2月 2025 02:40)

    2月22日~24日の3連休で、映画3本観る予定でした。が…あまりの寒さにヘタレてしまい、暖かい部屋から出ること能わずでした。
    *聖なる……筆者さんおススメとあらば、よしいくぞ!の気分でしたがズボラ癖が勝ちよりました。今週末は暖かくなりそうなので、ぜひ!?
    ちなみにあと2本…
    *大きな玉ねぎの下で
    *ファーストキス
    それぞれ、桜田ひよりさん、松たか子さんお目当てです。

    上映時間の長い映画てありましたね。
    intermissionの入るやつ。あれはあれでまた趣がありました。今は上映システムの都合上、製作されないのでしょう。パッと思いつくのは、
    *ベン・ハー
    *サウンドオブミュージック かな。

  • #2

    雛澪 (火曜日, 25 2月 2025 14:56)

    まあまあ無理なさらず……。今日から少し暖かくなりそうですね。
    途中休憩はintermission というのですね。トイレの心配が少ないからいいなあ。
    「七人の侍」はリバイバル上映で見たけど、休憩あったかな。記憶にありません。

    「聖なる~」に行ったとき「ブリジットジョーンズの日記」の4作目の予告を観て
    ちょっと泣いてしまいました。
    主演のレネー・ゼルウィガーは不思議な魅力のある女優さんで、昔から結構
    好きだったのですが、このシリーズは観ていません。
    ツタヤディスカスで1~3作目を大人借りしました。今から1作目を観ます。
    やっぱり映画館に行くと予告を観ていい刺激を受けますね!

    そういえば、最近の「女優」と言わず男性・女性とも「俳優」という言い方に
    室井滋さんがどこかで苦言を呈してらっしゃいました。
    全く私も同感で、女優と「女の俳優」は違うやろ! と思っています。
    女優という言葉に内包される、何ともいえない情緒、言葉の意味以上に心に響くもの
    についてわかっていない人がいるんだなあと苦々しく思っています。
    「美人女優」とか言ったら二重に罵倒されるのでしょうか。
    美人っていいことだし、その人の個性でもある。ルッキズムとは別の話です。
    「アクション女優」とか「演技派女優」ならOKなのにね。
    中田秀夫監督の「女優霊」なんてタイトル替えないとあかんのかな~(苦笑)

  • #3

    kirokuya (火曜日, 25 2月 2025 20:14)

    私も(女優)がしっくりします。(女の俳優)はものすごく違和感があります。逆に(男優)て言うのもなんか違うしなぁ…自分のことを(役者)と称している俳優さん、女優さんにはなぜか好感が持てます。

    *七人の侍
    には途中休憩あったと思います。何回も観てるのに、確信がないのは困ったものです。

    予告編にはやられますよね。まぁ…煽られる煽られる!煽られた勢いで観に行って、たまにナンジャコラ!もあります。最近は、注目してる(役者)さんで決めてる場合が多いです。

    (俳→人に非ず、優)(女優)(役者)、魅力的な仕事です。